家でできる実験

身近な物を使って家でできる化学実験を紹介したり、化学の話をするブログです。

最短半日で綺麗な結晶を作る(蒸気拡散法を使った結晶作り)

イントロ

 以前、このブログで綺麗な結晶を作る方法についての記事を書きました。

その記事で「③他の溶媒を混ぜる方法」という項目で紹介した結晶の作り方の

実例を紹介します。

今回は身近な物を使用して誰の家にもある(はずの)食塩と比較的に

入手しやすい物質として硫酸アンモニウムの結晶の綺麗な結晶を作ってみます。

紹介する実験は早くて1日、長くて1日半あれば終わるため、今年の夏休みのように

短い日数や冬休みに自由研究をやる人の役に立てれば幸いです。

 

今回は実験のやり方についての紹介になりますが、余裕があれば簡単な解説を

追加または解説用で別の記事を作成する予定です。

 

 

必要なもの

アセトン&除光液&硫酸アンモニウムを除けば家に在ったり、

100円ショップで購入できるものです。
・大きめのガラス製の容器

・大きめのガラス製の容器に入るサイズの小さいガラス製容器

・適当なガラス容器などの容器×2

・コーヒーフィルター…結晶を作りたい物質にゴミなど含まれる場合使用

・ろう斗(ロート、じょうご)…結晶を作りたい物質にゴミなど含まれる場合使用

・ラップ

・輪ゴム

・結晶を作りたい物質(今回は食塩と硫酸アンモニウム)

・アセトンまたはアセトンが入った除光液

…アセトンの代わりにエタノールや燃料用アルコールでも代用できます

エタノールはコロナ渦が収まってから使って方が良いです

 

実験方法・やり方

※使用する容器によって水や結晶を作りたい物質、アセトンの量は異なります。

 参考として私が行った時の量を記載しておきます。

※アセトンは有機物を溶かす性質があるため、プラスチック製の物に触れたり

 こぼさないよう注意してください。

①少量の水に結晶を作りたい物質を溶けきれなくなるまで溶かす。

今回は食塩と硫酸アンモニウムをそれぞれ水5mlに溶かしました。

②結晶を作りたい物質を水に溶かした際に水が濁っていたり、

 ゴミが混ざっている場合は③の操作を行う。濁りやゴミがなければ④の操作に進む。

③コーヒーフィルターとろう斗を組み合わせたもので結晶を作りたい物質を

 溶かした水をろ過する。

④大きめのガラス製の容器に入るサイズの小さいガラス製容器に

 結晶を作りたい物質を溶かした水を少量入れる。

※なるべく壁面に水滴がつかないように静かに入れてください。

※稀に結晶ができない事があります。万が一結晶ができない事を想定して

結晶を作りたい物質を溶かした水を複数のガラス容器に分けることで

結晶ができないリスクを低減できます(私が2本に分けてやった理由です)。

※私は約10ml小さいガラス製容器4本用意し、4本中2本に食塩を溶かした水2ml、

 残りの2本に硫酸アンモニウムを溶かした水を2ml入れました(図1)。

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図1:左の2本は食塩水、右の2本は硫酸アンモニウム水溶液。

どちらも透明なため区別できるように硫酸アンモニウム水溶液の方には

セロハンテープを貼ってある(マジックだとアセトンで消えるため)。

⑤結晶を作りたい物質を溶かした水を入れた小さいガラス製容器に

 入れられることができる量のアセトンを大きめのガラス製容器に入れる。

※私が行った場合ですが、イメージとしては図2のようになります。

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図2 大きめのガラス製容器に入れた小さいガラス製容器

左の2本には食塩水、右の2本には硫酸アンモニウム水溶液が入っている

※⑤のアセトンの量(A)を式で書くと以下になります。

A=小さいガラス製容器の体積ー入れた結晶を作りたい物質を溶かした水の体積

※私は約10ml小さい容器を4本使ったので小さいガラス容器の体積は10ml×4本=40ml。

 小さいガラス容器4本に2mlずつ入れた結晶を作りたい物質を溶かした水を入れたので

 入っている水は2ml×4本=8ml。

 よって小さいガラス製容器4本に入るアセトンの量は40ml-8ml=32mlとなります。

 (実際に使用したアセトンの量は後の事を考えて25mlです)

⑥アセトンを入れた大きめのガラス容器に小さいガラス容器入れる。

⑦大きめのガラス容器にラップを被せて輪ゴムで止める。

⑧半日~1日待つと小さいガラス容器の中に綺麗な結晶ができている事を確認する。

※待っている間、時々確認すると結晶が出てくるのを確認できるますが

 なるべく揺らしたりしないでください。

 

硫酸アンモニウムは2本中の1本は綺麗な柱状の結晶ができました(図4の左)。

食塩(塩化ナトリウム)では2本とも綺麗な立方体(見た目は正方形)の結晶ができました。

また、2本中の1本では結晶の成長する(大きくなる)方向が一方向であることで生じる

柱状の結晶が確認されました(図5、残りの一本はうまく撮影できなかった)。

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図3 半日(12時間)後の写真

左2本が硫酸アンモニウム水溶液を入れた容器、右の2本が食塩水を入れた容器。

それぞれの容器の中に結晶ができていることが確認できる。

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図4 硫酸アンモニウムの結晶

左は綺麗な結晶ができたので成功、右は大きい結晶ができたが綺麗でないため失敗

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図5 食塩(塩化ナトリウムの結晶)

綺麗な結晶ができたため成功

一般的に知られている立方体の結晶に加えて柱状の結晶も確認できた。

 

更新履歴(試験導入)

2021/1/4 更新履歴と参照記事へのリンク及び操作④の注意事項追加

2020/12/31 記事投稿