自由研究で十円玉を綺麗にする実験は違法!?
はじめに
夏休みの自由研究では色々な実験が行われています。
その中で定番の一つに十円玉を洗剤や調味料で綺麗にする実験があります。
この実験は本当に身近にあるもので、しかも半日以内で結果を
出せるということもあり、多くの人が行っていると思います。
また、サイトやYoutubeで多くの人が、この実験を紹介しています。
しかし、多くの人がやっている自由研究ネタなのにも関わらず、
法律上アウト(犯罪)になる可能性があります。
何故、十円玉を綺麗にすることが犯罪になるのか?
貨幣損傷等取締法という法律があります。
この法律の第1項に
「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない。」とあります。
これは言い換えると
「貨幣を傷つけたり、高温にして溶かしてはダメ」ということになります。
この法律と十円玉が綺麗になる事がどのように関係してくるかについては
次の十円玉が綺麗になる原理を知っておく必要があります。
調味料や洗剤で十円玉が綺麗になる原理について
十円玉を綺麗にする実験の原理についてザックリと説明します。
十円玉は銅という金属(と少量のスズ、亜鉛という金属)を原料に作られています。
十円玉は使っていると表面に酸化銅などの錆で覆われてくるため
だんだん見た目が汚くなってきます。
汚くなった十円玉を調味料や一部の洗剤に浸すと、表面を覆っていた
錆だけが調味料や洗剤中の酸に溶けて取り除かれます。
その結果、錆びの内側にあった(錆びてない)部分が新しい表面になるため、
十円玉が綺麗になったように見えます(つまり綺麗になる理由は還元ではない)。
ここで、錆びる前の十円玉の重さと、錆びた後に綺麗にした十円玉の重さを
比較してみると「錆びる前の十円玉>綺麗にした十円玉」になります。
これは、"元々は十円玉の一部"であった錆が取り除かれてしまったからです。
文章だけでは解りずらいと思うので、上記の内容を大げさに描いたのが
下の図1になります。
十円玉を綺麗にすることの問題点
錆びた十円玉を綺麗にするということは元々十円玉の一部であった部分を
取り除いてしまうことになります。
そのため、貨幣を損傷していることに該当する恐れがあります。
(※十円玉が自然と錆びることは故意に損傷しているわけではないため問題は無い。
書くまでも無いが、わざと錆びさせることは損傷する事に該当する。)
また、錆びる前と比較して重量が減っているということは銅の量が
減っていることになるため、十円玉としての価値を下げていることになります。