ライターの石からレアアースを分離する 前編(Syntheses Lhanthanum & Cerium Ammonium Sulfate at home Part 1 of 2)
イントロ
オイルライターの発火石(火打石、フリント)にはレアアースが使われています。
このレアアースを身の回りにあるものを使って結晶・粉末という形で
分離する(レアアースを含む結晶・粉末を作る)方法を紹介します。
前編では実験のやり方を紹介し、後編ではその方法について解説します。
この実験の基本的な原理はネオジム磁石から硫酸ネオジムアンモニウムを
作る実験を参考にしています。
必要な物
・オイルライター用発火石 6個…100円ショップ、コンビニなどで購入できます。
・トイレ用洗剤…成分に塩酸とあるもの。色が付いていないタイプを推奨。
・精製した硫酸アンモニウム…ホームセンターや通販で購入した硫酸アンモニウムを
・カッターまたはハサミ
・ガラス製の容器 3個…最低100mlの水が入る綺麗に洗ったジャムの空き瓶など
・液体の体積が測れる道具…メスシリンダーなど。金属製の物は使用厳禁!
・ろう斗(ロート、じょうご)…100円ショップ等で購入できる。
できれば小さいサイズを推奨
・コーヒーフィルター…100円ショップで購入できます。
・プラスチック製のマドラーやスプーン…100円ショップなどで購入できます。
金属製の物は使用厳禁!
・天秤(0.1gまで測れるタイプ)…キッチングッズを販売している店で購入できます。
・ラップ
・スポイト
実験方法・やり方
※腐食性の液体を使うので金属製の物(装飾品など)に
触れないように作業してください!
レアアースを含む粉末・粒状結晶を作る
① 発火石6個の塗装の2か所をカッターやハサミで削る(図1参照)。
② 削った発火石6個をガラスをガラス製の容器に入れる。
③ 悪臭がしても問題ない場所に移す。
④ 発火石が入っているガラス容器にトイレ用洗剤12mlを静かに注ぐ。
⑤ ラップを密閉状態にならないようにやさしく被せて90分間置いておく。
⑥ 90分間待っている間に、時々揺らしておく
⑦ 90分間経ったら、ろう斗とコーヒーフィルターの組み合わせで⑤の液をろ過する。
⑧ ろ過した液に、精製した硫酸アンモニウム2.6gを一度に加える。
⑨ 硫酸アンモニウムの大きな塊が溶けて無くなるまでかき混ぜ続ける。
⑩ 粉状の沈殿が生じているのを確認したら、ラップをきっちりかけて1晩置いておく
⑪ ろう斗とコーヒーフィルターの組み合わせでろ過をする。
注意:稀に粉状の沈殿を置いておくと粒状の結晶(図2左参照)ができることがあります。
もしも、粉状の沈殿と粒状の結晶が混ざった状態の場合(図2右参照)、粉状の沈殿
が無くなるまで待ってからろ過を行った方が純度の良いものが得られます。
⑫ ろ過が終わったらコーヒーフィルター上の粉状沈殿または粒上の結晶に水1mlと
トイレ用洗剤1mlを混ぜた液をスポイトを使って全体に少しずつかける。
⑬ 室温で、粉状沈殿または粒状結晶を乾燥させる。
もしも、粉状沈殿を結晶にしたいのであれば⑭~⑱を行う。
レアアースを含む粉末を大きい結晶にする
⑭ 乾燥した粉状沈殿をガラス製容器に入れる。
⑮ ⑭に水32mlを静かに混ぜながら加える。
⑯ 粉が全て溶けたことを確認したらティッシュを被せて、置いておく
粉が溶けた後の水が薄い紫色の場合、トイレ用洗剤を5滴程加える。
⑰ 生じた結晶が水面から出る少し前まで水が減ったら結晶を取り出す。
⑱ 室温で結晶を乾燥させる。