家でできる実験

身近な物を使って家でできる化学実験を紹介したり、化学の話をするブログです。

器具の洗浄について(自由研究から実験室レベルまで)

 この記事では自由研究レベルから研究室レベル?までの一般的な

器具の洗い方を紹介していきます。

 

綺麗な器具を洗う重要性 

 実験で使う器具が汚れていると、実験の失敗や酷い場合はケガのもとになります。

特に、市販されていない物質を使う場合は、その物質を作るのに高い薬品を

使って何日間もかかっていることもあるので、実験器具が汚れていただけで

苦労した時間もお金も無駄になってしまいます。

自由研究でも時間が無い中、実験をゼロからやり直したり、

期待通りの結果が得られなかったりすることにつながります。

 

器具を洗う手順

 一般的な器具を洗う際には下記のステップで行います。

1. 廃液の除去

2. 固体の除去

3. ブラシ、スポンジによる洗浄

4. 純水(蒸留水)による置換

 

1. 廃液の除去

 実験器具は最終的に流し場で洗浄します。実験で使用して不要となった液体(廃液)が

実験器具に付着していると流し場から下水へ流れてしまいます。

また、次のステップで行う固体の除去を行う際に、手間がかかってしまったり、

廃液の量が増えてしまうことに繋がります。

 廃液の除去方法は、最初に器具内にある廃液を廃液用の容器(タンク)に

移し入れます。状況によっては器具内の固体が廃液用の容器に入れないよう

注意して廃液を映し入れる必要があります。

 廃液を移し入れても器具は廃液で濡れているため、器具に残っている

廃液を除去する作業が必要です。

残った廃液の除去は実験で使用した溶媒(液体)で中を軽く濯ぎます。

勿論、濯ぎに使って廃液が混じった溶媒は廃液用の容器に捨てます。

 

2. 固体の除去

 実験によっては器具内に固体が付着している場合があります。

廃液用の器具にろう斗とろ紙をセットしておけば廃液を捨てる際に

固体の除去も同時にすることができます。

場合によっては器具に固体がくっついて残ってしまう場合もあります。

器具に残った固体はキムワイプ等(紙製の雑巾のようなもの)でふき取れば

除去できます(自由研究の場合はティシュでふき取りましょう)。

しかし、場合によっては固体を溶かして除去する必要があります。

溶かして固体を除去する場合には二つの方法があります。

一つ目の方法は単純に固体を溶解できる溶媒を加える方法です。

この方法で、水を使うのであればお湯にして溶解度と溶解スピードを

上げることができます。

二つ目の方法は固体と反応して溶かす物質を使う方法です。

酸や塩基、酸化剤、還元剤の水溶液を使って固体を溶かし、除去します。

扱う物質によってはバケツに上記の水溶液を入れておいて、付け置きする

必要があります。

 固体を溶かして除去した場合、器具は廃液で濡れているので

水や揮発性の高い有機溶媒で濯ぐ必要があります。

特に付け置きした場合は、器具の内側だけでなく外側も水で濯ぐ必要があります。

 

3. ブラシ、スポンジによる洗浄

 固体と廃液を除去した器具を流しでスポンジやブラシを使って洗います。

基本的には食器を洗うのと同じ要領です。

器具専用の洗剤をつけたスポンジやブラシを使って器具を擦っていきます。

樹脂製の器具は強くこすると傷がついてしまうので優しくこする必要があります。

スポンジやブラシで器具を擦り終わったら、水道水で洗剤を洗い流します。

器具に洗剤が残ってしまうと困るので食器よりも少し長く水道水で

洗い流すぐらいが良いと思います。

 自由研究であるなら安い中性洗剤をつけたスポンジで上記と同じように

洗えば問題ありません。

当たり前ですが、食器を洗うスポンジと器具を洗うスポンジは分けておきましょう。

 

4. 純水(蒸留水)による置換

 水道水にはカルキ(塩素とも呼ばれます)という消毒のために使われた

物質やミネラル分が含まれています。

そのため、水道水で洗った後の器具をそのまま乾燥させると、水垢の

ようなものが残ってしまいます。

また、実験によってはカルキやミネラルが邪魔をする場合もあります。

そのため、水道水で洗った後の器具は純水(蒸留水)で濯ぐ必要があります。

純水(蒸留水)で器具を濯ぐ際には器具内は最低3回、器具の外側は最低1回

濯いでおきましょう。

自由研究の場合、基本的に純水(蒸留水)で濯ぐ必要はありません。

どうしても純水(蒸留水)で濯ぎたいのであれば100円ショップで販売されている

洗浄瓶(くの字のノズルが付いている)にドラッグストアで販売されている

精製水を使って濯ぎましょう。